日本人選手が目指すべき新たな道


先日行われたアメリカのメジャーリーグサッカー(MLS)のドラフト会議で遠藤翼選手が1巡目にトロントFCに指名され晴れてMLSプレーヤーになりました。
ニューイングランドレボリューションの小林大悟選手、 バンクーバーホワイトキャップスの工藤壮人選手に次ぐ3人目の日本人MLSプレーヤーです。最近のMLSはかつてのような引退間際のスーパースターしかいないという状況ではなく、現役の各国代表選手が活躍しています。トロントFCにもイタリア代表のジョビンコ選手が所属しています。
日本人がMLSのドラフト1巡目指名!震災を経験した遠藤翼が快挙

遠藤翼選手は、私の息子の志有人とJFAアカデミー福島の同級生で、一人っ子の12歳で家を出てからちょうど10年。Jクラブからのオファーを蹴って大学を選択する選手もいる中で、欧州志向の強い日本人サッカー選手がアメリカの大学サッカーでしっかり活躍してMLSプレーヤーになる新たな道を作ってくれました。

すごく苦労したけど、しっかり英語をマスターし、日本でいう京都大学のような名門メリーランド大学を卒業したということは、まだ先の彼のセカンドキャリアにもすごくポジティブに働くと思います。

今回のドラフトのために渡米する直前、北市川FFでコンディション調整してアメリカに向かいました。アーセナルの選手のみんなにもこういう道があることを知ってほしいな。ドラフトで指名されることを信じて、アメリカに向かう直前に遠藤選手との対談を収録しておいたので、ぜひ読んでください。

幸野健一のエッジな人「日本人初、ドラフト1巡でMLSに指名された男」遠藤翼(トロントFC)


「受験かサッカーか」の二者択一時代の終焉


かなり前から受験のためにスポーツをやめるという選択に疑問を持っていました。
私自身もサッカーは一度もやめないで両立し続けてきたけど、自分が関わった選手の中でハイレベルで両立させた選手はたくさんいて、その方が大きな成果を得られると確信しています。

オンとオフがあった方が、はるかにオンを充実して取り組めるし、誰もが同じ24時間を生きる中で、どれだけ効率的にデザインできるか考えるわけだし、その後の人生においてもそういう考え方を身につけた方が人生において役立つと思ってます。

東大に息子3人を入学させた佐藤ママがこないだテレビでスポーツを両立させるなんてとんでもないって言ってたけど、早くこうやって育った選手が社会の中で一定の地位を得られるようになって、見方を変えていってほしいです。

昨日国学院久我山は決勝で負けましたが、受験生を抱える親御さんには特にこの国学院久我山OBの選手のブログ読んでいただけたら。

小澤一郎さん記事『ある強豪校に見る「受験かサッカーか」の二者択一時代の終焉』に寄せて


ラグビーから学ぶ


10月31日に行われたラグビーのワールドカップの決勝戦で、ニュージーランドがオーストラリアを下して優勝を決めました。日本代表は南アフリカ戦を含め、素晴らしい戦いを見せてくれ、日本中に感動を届けてくれました。

2011年の女子ワールドカップドイツ大会で日本が優勝した時も同じだったけど、日本中の人たちが感動したわけです。外国人と比べて圧倒的にフィジカル的にハンデがある日本人がひたむきに戦っている姿が私たちの共感を呼ぶのだと思います。

サッカー界もラグビーから学ぶことはたくさんあると思います。一つはフィジカルです。これまで日本のサッカーでは、筋肉をつけすぎるとアジリティが落ちたりするとか言われて、筋トレはしない選手もいます。しかし、サッカー界ではクリスチャーノ・ロナウドに象徴されるように作られた身体でも素晴らしいパフォーマンスをする選手も出てきています。日本でもフィジカルの鍛え方を考え直す時期に来てるんだと思います。

アーセナルも時流に乗って、ラグビーの練習を取り入れています。しかし、あれだけサッカーではすごいテクニックとフィジカルを持つアーセナルの選手がラグビーやらせると、なんかぎこちないです(笑)


1979.8.25 Arsenal vs Manchester United


昨夜、写真を整理してたら懐かしいチケットの写真を見つけて、日付を見たらなんと36年前の今日!

1979年8月25日、ハイバリースタジアムでのアーセナル対マンチェスター・ユナイテッドの試合。

当時17歳でクリスタルパレスのユースに練習参加させてもらっていましたが、初めて観戦したのがクリスタルパレスではなくて、アーセナルの試合でした。

その年の5月にFAカップの決勝で激突した両チームの試合はシーソーゲームの末に、終了間際の劇的なゴールによりアーセナルが勝利しました。そういった経緯があったから、リーグ開幕間もないこの再選はすごく注目されていました。

初めての観戦ということで、ハイバリースタジアムに着いた時にはかなり興奮していました。いまだったらスタグルとか呼ばれているんでしょうけど、当時は選択肢がそれしかなかったホットドッグの味をいまでも覚えています。

観客性に着くとすでに満員で、野太い男たちの応援歌の応酬がピークに達していました。当時女性や子供がほとんどいない観客席で、鳴り物があるわけでもなく、男たちの息の合った歌声が自分の琴線に触れ、すごく感動しました。あたりを見回しても日本人の顔は見えず、まだほとんどいなかったでしょうね。

試合はお互い攻撃的なチームなだけに、攻め合ったが結局はスコアレスドローに終わりました。ただ、アーセナルのブライアン・タルボット、フランク・ステープルトンやアラン・サンダーランドたちが織り成す攻撃がすごく自分には魅力的に見え、どちらかというとマンチェスターが好きだった自分が試合が終わった時にはすっかりアーセナルファンになっていました(笑)

あれから36年経って、まさか自分が日本でアーセナルのクラブに関わる日が来るとは思いませんでしたが、運命的なものを感じています。


新国立競技場建設問題から「生涯スポーツ立国」に想いを馳せる


前回投稿した「新国立競技場建設問題」の記事がおかげさまでマスコミの目に留まり、加筆した上で『新国立競技場建設問題から「生涯スポーツ立国」に想いを馳せる』というタイトルでZUU onlineに掲載されました。

Yahoo!ニュース等などのニュースサイトでも多数掲載され、今日時点でYahoo!ニュースのライフ部門でFacebook話題ランキングで1位になりました。

近い将来、大人も子供も自分の好きなスポーツを好きなだけ楽しめる社会が来るといいですね。成人病も少なくなり、健康になって、家族との絆も深まり、経済的にもスポーツビジネスが拡大して、一石五鳥ぐらいになると思います(^^)


新国立競技場建設問題


新国立競技場建設をめぐって連日ニュースでも2500億円にものぼる高額建設費の是非が問われています。

新国立2520億円了承=近く契約、10月着工―スポーツ振興センター

これまでのスタジアム建設の費用からしたら常識はずれの高額なのは明らかで、複雑な工法を必要とするからそんなに経費がかかってしまっています。もちろん、デザインは大切ですが、それ以上に大切なのは、競技者と観客にとって見やすいことの方がプライオリティが高くあるべきですよね。

日本サッカー界が世界の頂点を目指すなら、A代表に象徴されるトップのプルアップも大事だけれども、それより小学生、中学生、高校生、大学生、社会人、シニア、女子といったすべてのアマチュア選手の数を増やすボトムアップの方がもっと重要です。なぜならば、FIFAランキングベスト10に入るような国のサッカー人口/総人口は、明らかに日本より大きな数字となっています。

日本サッカー協会に登録している選手の総数は約96万人。それに比べてドイツは人口約8,000万人ですが、670万人の選手がいます。ドイツは特別多いことを割り引いても、その国でナンバー1スポーツになることは当たり前で、なおかつすべてのカテゴリーでサッカー人口を増やし、サッカーマスコミなどのレベルも上げることも大事。サッカーに関わる人たちのパッションの総量で並ばないと、そういう国と肩を並べることはできないと思っています。

そういった状態を目指すには何がネックになるでしょう?

そうです。ただでさえ足りないスポーツ施設です。いくらいい指導者やメソッドがあったって、ハードがなければ始まらないですよね?今でさえ、多くのクラブは練習場確保に苦しんでいるのに、数年後に今の何倍も選手が増えたら、現実には対応できないです。

東京オリンピックはメダル何個取るとかじゃなくて、国民誰もがスポーツを日常的にやる「生涯スポーツ立国」実現のスタートにしてほしいです。かつて農耕民族のわれわれ日本人は、田んぼや畑で体を使って汗を流してきたわけで、人間は本来を生物的に体を使って生きていくようにできているんです。それが現代社会では、一日中パソコンの前や家の中で過ごすから成人病だったり、ストレスだったり、いろんな問題が起きるんです。

すべての人が毎日スポーツをやるのは無理にしても、せめて週末自分の好きなスポーツをやるようになったら、劇的に成人病患者は減り、医療費や医薬費が激減し、浮いた数千億円を身近なスポーツ施設建設に投資してもらえばいい。

そういう意味で、スポーツは趣味ではなく、歯磨きのように生活習慣に組み込むべきものだと思っています。多くの人は小・中・高校の間どこかでスポーツをやってきたはずです。それが戦後日本のスポーツは学校に入ることにより、教育の「育」が入って「体育」になってしまった。そのことで先輩後輩や挨拶、球拾いといったことから、先生が指導者になることによって進路や成績が人質になって文句も言えないような環境が体罰を引き起こした一因にもなってるケースはあると思います。だから、みんなどこか途中でスポーツをやめてしまう。続けてても学校の切れ目がスポーツの切れ目になってしまうんです。

またスポーツには教育的な側面もあります。先日のワールドカップでなでしこジャパンが準優勝という素晴らしい結果を残して、国民の多くが感動した要因はなんでしょうか?なでしこより遥かに大きなイングランドやアメリカの選手相手に一生懸命戦う姿と勇気、友情、団結といったものが我々の琴線に触れたからではないでしょうか。人間は一人の力ではたいしたことができないけど、多くの人たちが結集することでより大きな困難に立ち向かうことができることを教えられるのもスポーツの素晴らしさではないでしょうか。

「生涯スポーツ立国」実現のために一番大事なことは、スポーツ施設をどうやって増やしていくかということです。アーセナルSS市川のホームグランド「北市川フットボールフィールド」もそうした思いで作られました。新国立競技場の屋根に950億円もの費用がかかるなら、うちのグランド建設費約1億円だから、950個もグランドできる計算になります。もちろん土地代は含まれていませんが、新国立競技場の屋根代で首都圏に600個、関西圏に350個のグランド作ったら、10年後に世界ランキング10位以内はぐっと近づくはずです。以上書いたことは、サッカー関係者視点すぎることは重々承知していますが、新国立競技場のニュースを見るたびに、お金をかけるところがそこなのか、心を痛めています。

 


サッカーで「自ら考え動く力」を身につける。


150524マガジントップ末本対談

このたび、「サッカー少年の親になる!」MOOKが発売されました。

指導者として8年以上現場を見てきた末本亮太氏が監修するこの本は、子どもがサッカーを始めるときに「親は何をすべきであり、何をすべきでないのか」、これからサッカーを続けていくうえで「どんな接し方をすれば子どもは伸びるのか」ということをサッカー少年・少女の親御さんが理解しやすいように、FC東京の森重選手の少年時代インタビューなど具体的な例をあげながら紐解いています。

私が巻頭の4ページ対談特集で登場してます。

私がそこでサッカーを通じた子供の成長について話していることは、あくまでも私の考えです。しかし、多くの親御さんにとって考えるヒントとなるように話しているつもりですので、ぜひお読み下さい。

AMAZONからはこちら

●サッカー少年の親になる

また、この内容に沿ったテーマ「サッカーで『自ら考え動く力』を身につける」〜世界と日本の違い、そこから私たちが学ぶべきもの〜として、私が7月4日に講演会を行いますので、そちらのほうもぜひお越し下さい。

講演会の詳細&お申し込みは下記まで

●「サッカーで『自ら考え動く力』を身につける」


ワールドトライアル2015


昨日は北市川フットボールフィールドで「ワールドトライアル2015」というセレクションが行われました。

欧州から元マケドニア代表監督、イタリア代表だったパヌッチの兄でトリノのスカウト、エンボマと一緒にプレーしていたガンバ 大阪のバブンスキー氏などスカウト4人を招いて、欧州でプロを目指す17歳から26歳までの日本人選手約40人が、欧州でプロになる夢をかけて熱いプレーを繰り広げました。

結果、多くの選手が可能性を認められ、来月中旬から約2週間欧州に渡り欧州のチーム相手に試合をして、次のステップでプロ契約を勝ち取る挑戦をすることになりました。

アーセナルSS市川からも欧州に渡る選手が出てくる日も遠くないと信じています(^^)

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トーナメントかリーグ戦か


こんにちは。

代表の幸野です。
このたびブログを開設することになりましたので、どうぞよろしくお願いします。

U-12が今年から全日本少年サッカー大会の全国大会が8月から12月に移行して、4月から11月までのリーグ戦が全国各地で開始されたのはご存じの方も多いと思いますが、なぜリーグ戦化を進めた方がいいかを書かせてもらいます。

リーグ戦かトーナメントかなんて、よく並列的に語られることも多いですが、この2つはまったく違う性格のものです。

一番の違いは、トーナメントは一回戦で負けたチームはそこで終わり。強いチームが何試合もできるシステムです。つまり、弱いチームの選手は経験できる真剣勝負の数が少なくなってしまうんです。

リーグ戦の場合、あらかじめ試合数が決まっているので、勝っても負けても、真剣勝負の機会は確保されています。選手は公式戦などの真剣勝負を経験することで成長していくもの。練習試合ではなく、緊張感を持った中でどれだけ練習の成果を発揮できるか。その繰り返しが、選手を成長させていくと思っています。

また、意外に語られていないことのメリットとして2回同じ相手と戦うことがあります。年間を通してのリーグ戦だと通常2回同じ相手とホーム&アウエーで戦います。同じ相手と2回試合をするということは、最初の試合を戦った経験を、次の試合に活かすことができるわけです。

もし最初の試合で負けたのであれば、失点場面を振り返って、次に同じやられ方をしないように対策を練る。分析をして、試合でトライする。それを繰り返すことが、選手や指導者の成長につながる、ひとつの方法だと思います。トーナメントだと、もう一度やるかわからない相手の分析なんてしませんよね。現にヨーロッパのサッカー強国は、7歳からリーグ戦を取り入れています。僕らよりサッカーの歴史が古い彼らが試行錯誤し、辿り着いた最適な育成環境がリーグ戦なのです。

U-11においても関東各県の有志の指導者たちにより、この4月からプレミアリーグU-11が各県でスタートしました。千葉においてもプレミアリーグU-11千葉を私の方が事務局として始まりました。いずれは各学年ともリーグ戦を主体の育成環境にしていきたいと思っています。

今のトーナメント主体の環境は、金の卵が十分な試合経験を積ませてあげられず孵化する前に消えていってしまってるんです。一見回り道のように見えるかもしれませんが、だれもが自分のリーグ戦を嬉々として楽しめる環境をつくることが、結局は日本のサッカーのいちばんの強化方法になると信じています。

詳しくは、下記の通りジュニアサッカーの保護者向け情報サイト「サカイク」でリーグ戦についての考え方を掲載いただきましたので、ぜひお読みいただけると幸いです。

●下記クリックして下さい。

「トーナメントは必要ない!? リーグ戦が子どもを成長させる理由」