ウクライナ避難民選手ダニールの挑戦


2022年8月より、ウクライナからの避難民のサッカー選手、コブザール・ダニール選手(20歳)が日本でサッカーをしたいとの要望があり、FC市川GUNNERSのトップチームである市川SCで受け入れています。

日本政府が手配した彼の宿泊ホテルから近いこと、市川SCがこれまで外国間の移籍選手が多く移籍手続きに慣れていること、自前のグランドを保有していて存分に練習環境を提供できること、彼の実力が市川SCのレベルに相応しいこと、など全ての条件が一致していることもあり、ダニール選手を受け入れたものです。

ウクライナでの戦争は、日本国民なら誰でも心を痛めていると思いますが、手を差しのべたいと思っても寄付くらいしか現実にできないですよね。なので、私たちのクラブがダニール選手を受け入れるということは、寄付以外にもスポーツ界がウクライナ避難民を手助けする手段があることを多くの方に知ってほしいという願いも持っています。現在、日本には2,000人を超えるウクライナ避難民の方達がいます。このことでサッカー以外のスポーツでも避難民を受け入れる動きが広がることを期待しています。

ダニール選手はウクライナの名門クラブ、シャフタール・ドネツクの育成組織で育ちました。なので、しっかりとした基礎技術を持っており、今は日本でプロサッカー選手になる夢を持っています。

先日もテレビ朝日の大下容子ワイドショーの中の企画で松岡修造さんがうちのグランドに来て、ダニール選手を取材していただきました。これまで多くのマスコミの取材を受けていますが、戦争が起きてから、国を脱出する過程については悲惨な記憶を思い出したくないということで言葉を濁しています。

なぜならば彼の戦争は今年始まったわけではなく、8年前にロシアのクリミア侵攻によって、当時住んでいたドネツクを追われて逃げたところから始まっているんです。彼にとって12歳からずっと続いている紛争が心に影を落としていると思います。なので、今は一度は諦めかけたプロサッカー選手になるといういう夢を再びこの日本で実現できるようにサポートしていきたいと思っています。うちのグランドでダニール選手を見かけたら、ぜひ声をかけてあげてください。

またNHKも密着取材を長期にわたってしてくれて、先日、「おはよう日本」でも特集されました。


諦めない勇気


昨日は柏レイソルでいまレギュラーとして輝いてる小池龍太選手がクラブに遊びに来てくれました。

いまやJリーグで一番活躍するサイドバックの一人になったけど、その過程はホントに苦労してここまで到達したんです。

18歳でJFAアカデミー福島を卒業するときに、プロからオファー来なくて、当時JFLのアマチュアだったレノファ山口に加入したんです。そこでは環境もプロじゃないからよくないので、すごく苦労したこともあったけど、頑張ってレギュラーを掴んで活躍して優勝してJ3に上がったんです。

J3でも苦労しながらも活躍して優勝してJ2に上がることができて、そこで晴れてプロ契約できました。

そこに息子の志有人も去年山口に加入して2人が頑張ってくれたおかげでJ2のバルサとも言われるうような美しいサッカーをして快進撃したおかげで、とうとう今季、柏レイソルからオファーをもらって移籍したんです。

ここまでだと多分今までもあるかもしれないけど、今季初めからいきなりレギュラーに定着して大活躍したんですよね。

私の知るかぎり、こんな下の方から毎年ステップアップしてJ1で活躍した選手は初めてじゃないかと思います。それほど今輝いてますからね。

うちの選手たちにも伝えたいのは、諦めないでやり続けたものにだけ、神様は微笑むってことなんです。もちろん、多くの選手にはその微笑みさえなく、やめてく選手もたくさんいます。でもやり続けなければ、神様が微笑んでくれるチャンスさえ来ないんですよね。

龍太選手にはそういった選手の希望の星として日の丸をつける選手にもなって欲しいし、いずれは海外でプレーして欲しいと思ってます。

ちなみにポルトガルでプレーする中島翔哉選手は龍太選手のいとこです笑

https://www.soccer-king.jp/news/japan/…/20170605/596686.html


千葉商科大学国際教養学部で講義


10月4日に千葉商科大学の国際教養学部で、講義させてもらいました。

国際教養学部の学部長である宮崎緑さんから依頼されたものですが、宮崎さんは女性キャスターの草分けで、30年来の友人でもあるのですが、いち早く日本での国際人教育の必要性を訴えて折られており、まさに現在の国際教養学部の学部長と言う職にふさわしい活動をされています。

アーセナルSS市川は昨年、U-18をスタートし、来年度には初めての卒業生が出る予定です。アーセナルの選手も常に海外を意識する環境にあり、同じ市川市という立地の元で、海外に繋がる人材育成ということで今後、進路先の候補になるものとして期待しています。

千葉商科大学国際教養学部

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アーセナルFCが教えてくれたこと


8月24日より4日間開催された「U-12 ジュニアサッカー ワールドチャレンジ2017」に出場するためにイギリスよりアーセナルFCが来日し、8月23日に北市川フットボールフィールドを訪れ、アーセナルSS市川の選手たちと交流しました。

その模様をジュニアサッカーの保護者向け情報サイト「サカイク」が伝えてくれました。記者さんが伝えてくれた内容はまさに私がうちの選手や親御さんに伝えたかったものであり、ぜひ下記タイトルをクリックして読んでいただければと思います。

アーセナルFCが日本に残した「知られざる足跡」から見えた、世界との差を埋めるヒント

彼らが北市川FFに到着してすぐにクラブハウスのロッカールームで着替えて、写真のように選手だけでミーティングやってる様子がドア越しに聞こえてきました。翌日から始まる大会に向けて、しっかり調整するのが一番の目的だけど、ここで日本の選手たちとしっかり交流して親睦も深めようと話し合ってました。

サッカーの本質はピッチの上での自立です。サッカーは一人の選手がシュートやドリブルやパスといったボールを持っている時間はたったの2、3分です。残りの88分間はボールがないんです。ボールがないのに、自分の役割を探してピッチを駆け回るんです。いってみれば、サッカーは裏方の仕事探しゲーム。だからこそ、常に周りを見渡して、自分に求められることを理解して、即行動に移して走らなくちゃいけないんです。

アーセナルFCの子供達はコーチたちに言われるまでもなく、自分たちに求められることを理解して、大人としての振る舞いをしていました。それはサッカーというスポーツはイギリスで生まれ、彼らのメンタリティに合わせてできているスポーツだからです。個人主義だけど、組織の大切さも理解しながら、行動する。サッカーで言えば、組織が大事な中盤ではしっかりパスをつなぎ、アタッキングサードではリスクを冒してチャレンジしてディフェンダーを抜いてシュート打つといいうことです。

サッカーというスポーツがそういうメンテリティを求められている以上、私たちもそこから逃れられないんです。タクシーに乗れば自動ドアで開き、駅に行けばうるさいほどチャイムが鳴り、喉が乾けばどこでも自動販売機で買える。至れり尽くせりが当たり前の日本では子供が自分でやらなくたって、周りの大人が全部用意してしまうんです。

そういう環境に慣れた子供達がピッチにやって来て、自分で考えてプレーしろって言われても難しんですよね。だからこそ、私たちも親御さんと協力しながら、どうやってピッチの上で自立した選手を育てていくか考えていかないといけないと思っています。

 


シリア人難民ジャマルの夢への挑戦


日本代表がシリア代表と戦った昨日、シリア人難民のジャマル(25歳)は、シリア代表が戦った味スタから50km離れたアーセナルSS市川の専用グランドで、黙々とリハビリに励んでいました。

彼と初めて会ったのは昨年暮れ。難民支援協会から日本でプロを目指したいシリア人難民がいるから手を貸してくれないかということでした。その時、世界中に500万人くらいいるシリア人難民のうち、日本政府が難民として受け入れているのがたった6人しかいないことを知りました。ジャマルはその6人の中の1人です。

ジャマルは小さい頃からシリアでプロサッカー選手を目指し、3部、2部と順調にステップアップし、とうとう1部リーグの強豪「ALWEHDA」にプロとして2011年に移籍しましたが、その年に現政権を倒し民主化を進める革命「アラブの春」が起こり、内戦が悪化し、シリア代表合宿に召集されたにもかかわらず、参加が叶わなかったんです。ジャマルによると、その時のシリア代表選手のうち5、6人はアサド政権に反対して殺害されたといいます。空爆が悪化した2013年10月にジャマルはシリアを脱出して、レバノン経由で日本にやって来ました。

来日してから3年間は必死に家族のために働き、2年後に難民認定され、少しずつ生活が安定して、この4月には明治大学にも入学しました。そういう中でかつてプロ選手としてプレーしていたサッカーへの夢をこの日本で再び挑戦したい気持ちが沸き起こったと私に熱く語ってくれました。

そこで彼の実力を見極めようと私のチームで試合をしてもらおうと思ったのですが、昨年11月に肉離れしたハムストリングが治るまで待とうということになりました。しかし春になってもなかなかよくならないというので、うちのクラブに呼んで、フィジカルトレーナーに診察してもらって、リハビリトレーニングを現在行なっているところです。あと、2、3週間で実戦に復帰できる見込みで、その後、彼の実力を見極めた上で、Jへの挑戦に手を貸すつもりです。

着の身着のままでシリアを脱出して、まったく知らない国にやって来た彼の夢への挑戦の道程を通じて、日本でも多くの人たちにシリアの現状に関心を持ってもらえたら嬉しいです。アーセナルの子供達にもこの機会を通じてシリアの話を親御さんからしてもらえると嬉しいです。ぜひ詳しくは下記の記事を読んでください。

北市川フットボールフィールドで彼を見かけたら声をかけてあげてください。

日本でプロを目指すシリア難民の挑戦 #1
https://victorysportsnews.com/articles/2473/original

日本でプロを目指すシリア難民の挑戦 #2
https://victorysportsnews.com/articles/2615/original

日本でプロを目指すシリア難民の挑戦 #3
https://victorysportsnews.com/articles/2712/original

日本でプロを目指すシリア難民の挑戦 #4
https://victorysportsnews.com/articles/2738/original

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新体制


2月1日より新体制がスタートしました。

かつてマンチェスターユナイテッドやスペイン代表で活躍し、昨年夏まで2年間、日本代表GKコーチだったリカルド・ロペスをテクニカル・ディレクターとして迎えました。コーチ陣も新たに、森亮太U-18監督、左枝篤U-13監督、南里雅也U-12監督、木下洸太郎レディース監督、佐々木和之テクニカルスタッフが加わりました。

クラブ創設3年目を迎える今季は、新たな飛翔の年と位置づけ、これまで基礎を築いてきたものをさらに世界基準をテーマに進化させるべく、大幅に人事を刷新しました。

クラブでも代表でもまさにトップを経験して来たリカルドを筆頭に、コーチ陣も森と左枝がスペインで経験を積んでスペイン語も自在に話せます。南里もU-12の世界で町クラブをJクラブに匹敵する強豪に育て上げた実績を持っています。

リカルドがクラブレベル、代表レベルで世界のトップとして活躍してきた経験をクラブに落とし込んでもらって、コーチ陣が日常のトレーニングだけでなく、オフザピッチに至るまで、勝者のメンタリティを浸透させていきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いします。

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アメリカという新たな道


1月にうちのグランドで調整しにアメリカ・MLSのトロントFCに所属するMF遠藤翼選手が来てくれました。
遠藤選手は息子の志有人とJFAアカデミー福島の同級生で、アカデミー卒業後にメリーランド州立大に進学し、昨年1月に開催されたMLSのスーパードラフトでトロントに1巡目指名されて加入しました。
これまで日本人のサッカー選手が海外でプロを目指す場合に、欧州を目指すことが主流でした。そこをカナダの名門大学で勉強とサッカーを高いレベルでこなしながら、ドラフトによって、アメリカ最高のサッカーリーグであるMLSのチームに加入するというのは日本人初で素晴らしい道を切り開いてくれました。
遠藤選手は体が小さいこともあって、JFAアカデミー福島時代も決してレギュラー選手だったわけではなく、それでもしっかり夢を持ち続けて、カナダの名門大学で英語をマスターし、サッカー選手として成長を続け、とうとう頂点まで上り詰めたんです。トロントFCには元イタリア代表のスーパースター、ジョビンコ選手も所属していて、開幕先発の座を射止め、先発5試合目には初ゴールも記録しました。
アーセナルSS市川の選手にも、アメリカ、カナダやオーストラリアの大学で学びながらサッカーを続け、プロを目指すという道もあることを知ってほしいです。

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溢れるパッション


10月に湘南ベルマーレのアカデミーGKプロジェクトリーダーを務めているジョアン・ミレット氏と元日本代表GKコーチのリカルド・ロペス氏を招いてトレーニングセッションを行いましたが、とても素晴らしい内容でした。

ジョアンに最初に会ったのは彼の講習会にでた時で、もう3年くらい前になると思うけど、これまでGKトレーニングでは当たり前だと思われていたことが違っていたり、何よりも選手に対する論理的な説得力が素晴らしく、いつかアーセナルに招いてレッスンしてほしいなと思っていたことが実現しました。実際の彼のトレーニングセッションを受けた選手たちも、目から鱗が取れるような発見がたくさんあったと興奮して話していました。

リカルド・ロペス氏は出場経験は少なかったけど、あのマンチェスター・ユナイテッドに3年間所属して、2002年の日韓W杯にもスペイン代表として参加するなど、素晴らしいキャリアを持っており、アギーレ元日本代表監督が就任する際、信頼のおけるGKコーチとして日本に連れてきました。そのアギーレが不本意にもすぐに退任することになったのにもかかわらず、リカルド氏だけがハリルホジッチ体制になってもそのまま継続して日本代表GKコーチを務めていたのは能力を評価されてのことで、この7月末まで約2年間にわたって日本代表のGKたちを熱意を持って指導していました。今回のアーセナルでのトレーニングセッションではフィールドコーチとして、ピッチを縦横に駆け巡りながら、選手に檄を飛ばすことによって、とてもメリハリの効いた素晴らしいトレーニングを実現していました。

この2人に共通しているのはパッション。サッカーというのはもともとイギリスで生まれて欧州や南米で育ったスポーツで、彼らのメンタリティに合ったスポーツなんですよね。ピッチにでたらシュートしようが、パスしようが、ドリブルしようが自分で考えて、自分で行動を起こす。そのエネルギーになるのが熱いパッションです。オンとオフの切り替えをうまく使いながら、ピッチに溢れんばかりのパッションがあるから、人の心を動かせるんだということを改めて教えてもらいました。


FOOT×BRAINに出演します


4月23日(土)深夜0:50放送のテレビ東京のサッカー番組「FOOT×BRAIN」に出演します。

テーマは恥ずかしながらサッカーグッズです笑

なので、あまり声を大にしてPRできませんが、アーセナルSS市川のグランドも多少映りますので、よろしくお願いします。

ちなみに4月からテレビ東京のみの放送となってしまい、関東だけしか視聴できなくなりました。ただBSジャパンでも5月1日(日)深夜2:10から放送予定です。

 


日本人選手が目指すべき新たな道


先日行われたアメリカのメジャーリーグサッカー(MLS)のドラフト会議で遠藤翼選手が1巡目にトロントFCに指名され晴れてMLSプレーヤーになりました。
ニューイングランドレボリューションの小林大悟選手、 バンクーバーホワイトキャップスの工藤壮人選手に次ぐ3人目の日本人MLSプレーヤーです。最近のMLSはかつてのような引退間際のスーパースターしかいないという状況ではなく、現役の各国代表選手が活躍しています。トロントFCにもイタリア代表のジョビンコ選手が所属しています。
日本人がMLSのドラフト1巡目指名!震災を経験した遠藤翼が快挙

遠藤翼選手は、私の息子の志有人とJFAアカデミー福島の同級生で、一人っ子の12歳で家を出てからちょうど10年。Jクラブからのオファーを蹴って大学を選択する選手もいる中で、欧州志向の強い日本人サッカー選手がアメリカの大学サッカーでしっかり活躍してMLSプレーヤーになる新たな道を作ってくれました。

すごく苦労したけど、しっかり英語をマスターし、日本でいう京都大学のような名門メリーランド大学を卒業したということは、まだ先の彼のセカンドキャリアにもすごくポジティブに働くと思います。

今回のドラフトのために渡米する直前、北市川FFでコンディション調整してアメリカに向かいました。アーセナルの選手のみんなにもこういう道があることを知ってほしいな。ドラフトで指名されることを信じて、アメリカに向かう直前に遠藤選手との対談を収録しておいたので、ぜひ読んでください。

幸野健一のエッジな人「日本人初、ドラフト1巡でMLSに指名された男」遠藤翼(トロントFC)